2007-09-28

過去は東に、未来は西に

こいつは今年の2月に一度アップした日記でして、京都と奈良の境にあって、マイミクさんのgoutさんの故郷でもある、浄瑠璃寺に行ったときのものです。

あのころはまだ、mixiのぺーぺー会員にはアルバム機能を割り当ててもらえてなかったので、日記にちょこっと写真をアップした程度だったのですが、今、オレのようなぺーぺー会員でもアルバムを作成することが出来るようになってますから、過去の京都神社仏閣巡りツアーのぶんは、ときどき機会を見つけてアルバムにアップしていきたいと思ってます。記録的な意味合いが強いのでね。

なので、初めてご覧になる方にとっては、いつものオレの日記で、再びご覧になる方にとっては、またかよ!とうんざりした気分になること必至の日記であります(笑) や、一応は、少しアレンジしてあるんですけれどもね。

ちなみに、季節は、季節外れの冬です(笑)

浄瑠璃寺はですねえ、場所が京都と奈良の境にあるので、とても行きにくいのですが、名前にすごく惹かれてましてね。だって、浄瑠璃のお寺さんなんだもん! でね、かねてより、行きたい!行きたい!と思っていたのですよ。

ちなみに、このあたり、いいお寺さんが集中していることもあって、まえまえから目をつけてはいたんですよね~。
地図を見ただけでね、インパクトのある名前のお寺さんが多いんですよ。
浄瑠璃寺だけじゃなくて、一休寺、神童寺、蟹満寺、観音寺、禅定寺、海住山寺…、なんか、そそる名前が多いでしょ。

で、一路、浄瑠璃寺へ。


ここはもう、写真集かなにかで見て以来、行きたくて行きたくて仕方がなかったお寺さんですわ。
まず、名前が、美しい。浄瑠璃のお寺ですからね。
んで、写真で見たかぎり、本堂がかなりスタイリッシュ。余計なものが一切省かれているフォルムに惹かれまして…。
今回、念願叶って行ってきましたですよ。まあ、遠かったですけど…。

このお寺さんは、西方九体阿弥陀堂と東方三重塔の2つの伽藍で構成されてます。あいだに、浄土式庭園を挟んでますが、それだけです。

どちらも藤原時代建立の建造物で、宇治の平等院と同時期の、古い古い建物です。一度も焼失してませんから、正真正銘、藤原時代のものです。

で、西方九体阿弥陀堂。
この、平べったくもスタイリッシュなフォルムを持つ西方九体阿弥陀堂は、文字通り、9体の阿弥陀如来さんを安置するためだけに建てられた建物です。そういう建物としては、現存する唯一のものですね。
中に入ると、ずらずらっと9体の阿弥陀如来さんが横並びで鎮座されている風景は、圧巻です。
両脇を持国天、増長天、不動明王三尊像の四天王メンバーが固め、9体の阿弥陀如来さんのあいだには、吉祥天女さん、大日如来さんがおわします。もっとも、吉祥天女さんと大日如来さんは秘仏で、この日は見れませんでした。

翻って、浄土庭園の池を挟んで東方に眼を向けると薬師如来さんを祀った東方三重塔があります。
これはね、なかなかありがたい配置ですよ。

少し解説を加えておきますと…、
薬師如来さんは過去世から送り出してくれる仏さんでして、過去の因縁や苦悩を超えて進むための薬を与えてくれる仏さんです。オレたちを送り出してくれるんですが、その仏さんが、太陽の昇る東に安置されています。
一方で西には、9体の阿弥陀如来さん。
阿弥陀如来さんは、阿弥陀如来さんは理想の未来にいて、そこへ向かって進むオレたちを受け入れ、向かえてくれる、来世の仏さん、未来仏なんです。その仏さんが、西方浄土(極楽浄土)のある方向である西に、ちゃーんと安置されている。
だから、
仏教では、東は過去(苦悩)、西は未来(理想)なんです。この2つの真ん中に位置する浄土式庭園の池は、ですから、東を此岸、西を彼岸としているわけです。東の薬師、西の如来、ってわけです。

薬師さんに遺送されて出発し、この現世へ出て正しい生きかたを教えてくれた釈迦の教えにしたがい、煩悩の川を越えて彼岸にある未来を目指して精進する。そうすれば、やがて阿弥陀さんに迎えられて西方浄土に至ることが出来る、と、こういうストーリーが、このお寺さん全体で表現されているわけです。

こういうふうに仏教観を伽藍全体で表現しているお寺さんというのは、空海がつくった東寺と、ここくらいじゃないですかね。

彼岸から此岸を目指すんですが、あいだにあるのは、浄土式庭園。

これはもちろん、極楽浄土を表したもので、宇治の平等院にある庭園と同じ意味合いを持ってます。

だから、なんで浄瑠璃寺なのよ、浄土寺でいいんじゃないの?って疑問があったんですが、住職さんにお聞きして納得しました。
このお寺さんのご本尊は、東方三重塔に安置している薬師如来さん。そして、薬師仏の世界では、浄土のことを浄瑠璃と表現するらしいのです。なので、こちらのお寺は浄瑠璃寺。

んで、そうしたお話を伺い東方三重塔に行った折り、このなかに祀られてるご本尊の薬師如来さんが、ご開帳されているのを発見しました!
普段は、秘仏です。毎月8日、彼岸の中日、正月3ヶ日のみのご開帳らしいのですが、なんと、訪れた日は、掃除の日(笑) 運よくご開帳に居合わせたわけです。しかも、通常のご開帳では開かない、横の扉が開いてまして。いやいや、珍しいものを拝みましたですよ。

写真で見るかぎりでは、吉祥天女像がなかなかふくよかでよろしいのですが、こちらもまた秘仏。拝むこと叶いませんでした。
さらに、せっかくの浄土式庭園も、冬のあいだは、草花もなく…。
関西花の寺霊場にも数えられるほどのお寺さんなので、桜、アヤメ、カキツバタ、紫陽花、桔梗、萩、紅葉…と、季節が季節なら、色とりどりに咲き乱れてくれて、それこそ浄土の世界が展開されるんですけどね。

あ、でも、馬酔木が咲いてました! 今見ると、完全に季節外れです~(笑)

また時季のいいときに、他の仏さんのご開帳も狙いつつ、リベンジします~。

鄙びたかんじの、いい参道です。


冬に咲く自然の心尽くし。馬酔木が咲いていました。


手前に浄土池をしたがえた、西方九体阿弥陀堂。フォルムが美しすぎます☆


近づくとこんなかんじ。障子ひとつひとつの向こうに、それぞれ阿弥陀さんが安置されています。


浄土池を挟んで西方九体阿弥陀堂の真向かいにある東方三重塔。


この日は東方三重塔を掃除していて、薬師如来さんを横から拝めました!


山間ですから、こうして木々のあいだからチラチラと東方三重塔が見えます。

2007-09-23

「寺社に負けないおすすめの京都」




毎週土曜日に日経新聞に挟まれてくる日経プラスワンに載ってる、今週のなんでもランキングは、「寺社に負けないおすすめの京都」。
京都に過去5回以上訪れた人にアンケートをとってます。

1位)哲学の道
2位)嵐山公園
3位)嵯峨野トロッコ列車
4位)保津川下り
5位)鴨川べり
6位)渡月橋
7位)東映太秦映画村
8位)比叡山
9位)京都国立博物館
10位)円山公園

という結果となっておりました。
ふむ。5回も京都に行ったなら、どこもかしこも行きそうな場所ですな。

ちなみに、サイトにもアップされてます。



ただ、哲学の道がトップというのは、京都に観光に来る人ならではの意見のような気がします。
たしかに風情があっていい道なんですが、あそこは、今やもう、人が多すぎです。
あんだけ人がたくさんいて、風情もへったくれもないですな。
平日の午前中の早い時間ならまだしも、週末とか、完全にアウトですから!

2位の嵐山公園は、いいですね。
嵐山といえば、渡月橋わたって、芸能人のお店ストリートを抜けて、天龍寺から嵯峨野へ抜けるコースがメインだけれども、嵐山公園は、そのコースから、ちょい逸れます。なので、超人気観光地のわりには、混んでないので、のんびり出来ます。

3位の嵯峨野トロッコ列車と4位の保津川下りは、これはセットみたいなもんですな。観光で京都にやって来て、トロッコや保津川下りをするのなら、ほぼ全員、この両方をセットで行くんじゃないでしょうかね。
ちなみにオレは、どちらも行ったことがありましぇーん。どうもね、タイミングが合わんのですよね。

5位の鴨川べり。もう、オレにとっては、神社仏閣を除くのなら、ここが永遠のナンバーワン・スポットですわ☆ 京都はね、鴨川があるだけで、その魅力が2割増ですから。
鴨川も、有名な川床じゃなくてね、川岸をぶらぶら歩いたり、岸辺に座ったり寝っ転がったり、ここは、本当に気持ちがいい☆ 上流に行けば行くほど、気持ちのいい風が吹いてます☆

6位の渡月橋。この橋は…、わたってるときはべつにどってことない橋ですけどね(笑) 遠くから眺めてるのがキレイですね。ま、どってことないですけど(笑)

7位の東映太秦村。松方弘樹なんかの時代劇役者さんが近所をうろうろしてますが、この映画村自体は、ちっこいころに連れていってもらったきり、行ってないです~。また近いうちに行ってみたいスポットのひとつ。

8位の比叡山。ここを京都に入れるかどうかは微妙なところなんですが、まあ、でも、文化的には京都の文化圏ですな。ご存知、延暦寺があるだけでなく、美術館やら遊歩道やら、ハイキングコースにもなっとります。相方さんの大好きなカフェ『芽愛里』もありますな。久しく行ってません。。

9位の京都国立博物館。それこそ、伊藤若冲ブームの火をつけたところでもありますが、ここはねえ、メジャーすぎます。メジャーすぎて、それほど面白くはない博物館だと思うんですけれどもね。

10位はの円山公園。桜の季節は、名物の枝垂れ桜を囲んで酔っぱらいがたくさんいてるところ(笑)この公園は、東の一番奥が、人もあんまり来なくて、のんびり出来ます。桜の季節、背の低いかわいい桜がたくさん植えられていて、なかなかいいですよ。


さて、選外になってしまってるけれども、ルイスのおすすめを付け加えておきますと…、

京都芸術センター
ここはですね、明治に開校した小学校の建物を利用したセンターです。
各教室で展示が行われたり、ワークショップが行われていたり…、建物自体が明治の建築なので、レトロな雰囲気がアートとマッチしていて、とーっても素敵な空間です。コの字型の後者に囲まれてちっさい運動場があって、その運動場を眺めるかたちで、端っこにベンチがあります。オレ、ときどきそこで寝てますからね(笑) ここも、お気に入りのお昼寝スポット。ちなみに、肛門に一番近いところにある教室は、とーっても素敵なカフェであります。

河井寛次郎記念館
京都国立博物館に行くくらいなら、こっちのほうが全然いい!
日本を代表する陶芸家の河井寛次郎のかつての住居であり、アトリエであった場所が、記念館となっています。彫刻だけでなく、さまざまな表現活動に身を投じた彼がつくったイスにすわってのんびりしたり、木彫に触れたり、もちろん、陶器も。奥に行けば、彼が多くの作品を生み出した昇り釜も見学することが出来ます☆

とりあえず、今、思いつくのはそんなところ。

2007-09-19

青葉、また青葉

約1ヶ月ぶりくらいの、京都神社仏閣巡りツアー、行ってきました☆
あんまり時間もないし、お金もないし、京都と大阪の中間の長岡京で相方さんと落ち合って、そっから、光明寺へ。

このお寺さんは、ずいぶんむかしにひとりで行ったことがあるのですが、庭を散策しているだけでも気持ちがいいお寺さんなので、今回は相方さんを連れて再訪です。

ちなみに、長岡京は、奈良の平城京から京都の平安京に遷都されるあいだ、一瞬だけ、10年だけ都が置かれた場所ですね。ま、怨霊が噂されて、桓武天皇がこの地を捨てたんですけどね。
でも、10年で平城京→長岡京→平安京と首都移転ですからね、それもいちいち新しく都をつくってるわけですから、どんだけカネがあってん!って話ですけど。

さて光明寺。
ここは浄土宗の総本山でして、法然さんが日本で一番最初に念仏を唱えた、由緒正しいお寺さんでもあります。南無阿弥陀仏ですね。

難しい話は抜きにして説明しますとですな、仏教というのは厳しい修行の果てに解脱して幸福になれる、という宗教なのですが、それを徹底的に合理化して、南無阿弥陀仏の念仏を唱えるだけでよろしい、というのが、法然の浄土教ですわ。

まあ、唱えずとも思うだけでよろしい、としたのが、法然の教えをさらに押し進めた親鸞ですが、それについて語り出すと収拾がつかなくなるので、それはまた今度。
でも、言葉を口に出すのは、言霊が生まれて力も出るから、思ってるだけよりは唱えたほうがはるかにいいとは、オレは思うんですけれどもね。

とにかく、その法然が、念仏を初めて唱え、浄土教を立宗したのが、ここ、光明寺です。

と、なかなかに由緒正しいお寺さんではあるのですが、京都市街地からは離れていることもあってか、府外から訪れる人などまずなく、普段は静まり返ってます。
ということは、気持ちよく昼寝出来ることがお寺さん選びのポイントの第1番になってるオレにとっては、これはポイントの高いお寺さんなのですよ~。

と言いたいところなのですが、じつは、このお寺さんには、庭も、庭を眺めながら昼寝する本堂の縁側もないのですよ~。
でもですね、ここは寺域全体が庭のようになっていて、延々と続く参道がいいのですよ~。

じつのところ、この、参道をぶらぶら歩く!くらいしかすることのないお寺さんではあるのですが、さすがにそれくらいしかすることがないだけあって、ここの参道はいいですよ!

モミジがですね、参道を取り囲むようにして、延々とトンネル状態になってるのですよ。
11月なんて、このぶんだと、紅葉のトンネルですね。嵐山や三千院や東福寺など、京都には紅葉の名所が多いですが、ここの参道は、それらと比べても全然負けてないと思います。

や、紅葉の時季は来たことがないからほんとのところは知らんのですが(笑)
でも、この青葉を見りゃ、納得ってもんじゃないですか。

山門くぐった参道からずーっと、青葉のトンネル。
行っても行っても、青葉のトンネル。で、ときおりこぼれてくる木漏れ日がね、キラキラしていて力を漲らせてくれます。まだ残暑が厳しくて直射日光はカンベンだけど、青葉に漉されてこぼれてくる光は、柔らかくていいです。

オレね、紅葉も嫌いじゃないけれども、青葉のほうがずっと好きです。
瑞々しいしね、未来や希望を感じるじゃないですか。

というわけで、緑尽くしのエバー・グリーンなお寺さんなのでした。

緑、緑、緑のオンパレード☆

山門です。総本山光明寺の文字が立派です。


山門から続く参道。ここから、延々と階段が続き、紅葉のトンネルが続きます。


参道は延々と続きます。階段自体は緩やかですが、坂そのものの角度はかなりあります。


このへんで半分くらいまで登ってきました。


残り半分、まだまだあります。でも、若葉のトンネルが清々しいです。


近いようで遠いようで…。でも、もうすぐです。


見あげると、青葉から木漏れ日。


ようやく到着。青葉に見え隠れするのは、本堂にあたる御影堂です。


青葉の緑と空の青が、清々しさを感じさせます。


御影堂。かなり立派な、威厳を感じさせる建物です。


皇太子さんが植樹した松。でも、今の皇太子さんか前の皇太子さんかが、わかりません(笑)


残暑で暑かったですが、お寺さんの本堂は木造なので、いつもひんやりしています。


御影堂の裏。渡り廊下がジグザグに走っていて、奥の伽藍に繋がっていました。


少し色づいている樹がありました。その奥に釈迦堂があり、さらにその向こうに見えるのはポンポン山。


釈迦堂が姿を現しました。櫓を構えた、珍しいお堂。


本屋根と櫓の屋根の鬼瓦が、それぞれ違います。本屋根の鬼瓦は、1メートルくらいの巨大サイズ。


ここもまた、青葉のトンネルです。先を歩くのは相方さん。


釈迦堂の山門に切り取られた青葉のトンネルが素敵です。


行きとはべつの参道を下っているのですが、ここもまた青葉のトンネル。


目に青葉、ホトトギス、初鰹。季節は全然違いますが(笑)


夕方で西陽が強烈。まだまだ残暑が厳しいです。


帰る途中、早咲きのコスモスを見つけました。